飲食店は、多くのお客様と接客しますので、感じのいい方や、そうでない方もいます。
クレームという言葉を聞くだけで、気が滅入ってしまうという方も数多くいらっしゃると思いますが、クレームとはお客様の要望ですので、しっかりと話を聞くことで店の改善のヒントとなりますから、売上げの向上や問題解決につながることもあります。ちゃんと対応すれば、そのお客様が常連様になってくれたりすることも珍しくありません。
今回はそうではない、一般の常識を超えた要求をする悪質なクレーム(クレーマー)への対応や、対応するときに知っておくべき法律の知識を紹介します。
飲食店の悪質なクレームの対応の心構え
クレームは後ろ向きにとらえられがちですが、有効に対処をすれば必ず店の運営にとってプラスになりますが悪質なクレーマーというのは、ほとんどがお金目的です。
常識の範囲内で、こちらができるお詫びをしているにもかかわらず、「納得できない!」「誠意が伝わらない!」などと言って、店側からの金銭的な提案を待つパターンがだいたいそうです。
悪質クレーマーは、色々な店でクレームをつけてますので、自分のやっている行為が一歩間違えば犯罪であると知っていますので、はっきりと金銭の要求等はしません。店側の出方を見ていますので、ここまでは出来るが、これ以上は出来ませんと毅然とした態度で対応して、相手のペースにハマらないようにしなければいけません。
その場から逃げ出したくて下手にお金で解決してしまうと、その仲間から、あの店はクレームを言うとお金を払うと言った噂がたち同じようなクレームが何度もおきてしまいます。
優柔不断とあいまいな答えは、付け込まれる原因となります。店として、どこまで対応することが出来るのかを自分の中で明確にして、相手との会話から何を求めているのかを感じ取って、「ここまでは出来ますが、これ以上はご対応できません。」とはっきりと伝える勇気が必要です。
相手との会話は必ず録音しておきましょう。
飲食店の悪質なクレームの具体的な対処方法
「納得できない。誠意を見せろ」
申し訳ございません。不手際があった商品をご返金させて頂くことと、謝罪させていただくことが精一杯の誠意です。
「保健所に言うぞ!営業停止になるぞ!」
申し訳ございませんでした。きっちりと調査して貰えますので保健所には連絡して下さっても結構です。
「社長を出せ!」
申し訳ございません。私が店の責任者ですので、私がご対応させていただく以外ございません。
「あの店員をクビにしろ!」
この度は大変、失礼いたしました。担当者の処分は当社の規定に則って行いますのでご要望におこたえできません。
「お前のとこの料理を食べて腹が痛くなった!どうしてくれる!」
まず、お体が心配ですので病院に行ってください。当店の料理に問題がありましたら、病院から保健所に連絡が入り調査が行われます。当店に問題がございましたら社内規定にそってご対応させて頂きます。
悪質なクレームに備えて覚えておくべき法律とは
脅迫罪(刑法222条) 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
「生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知」したら脅迫です。
「殴るぞ!」「殺すぞ!」「10万円払え!」など・・・
恐喝罪(刑法249条) 10年以下の懲役
「許して欲しければ金を出せ」「迷惑料をよこせ」と言ってお金の受け取りが成立した場合ですが、お金の受け取りがなくても要求しただけで恐喝未遂罪(刑法250条)となります。(10年以下の懲役)
強要罪(刑法223条)3年以下の懲役(未遂でも適用される)
無理やり土下座させたり、謝罪文を書かせれるなどの行為も犯罪です。
威力業務妨害(刑法234条) 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
店内で店員の制止に従わず大声を出し続けたり、机を手や拳等で叩いて恐怖心を与えたり、暴行を示唆するような行為も犯罪です。
不退去罪(刑法130条)3年以下の懲役または10万円以下の罰金
「どうぞお引取りください」と伝えたが居座り続けるなど、正当な理由なく他人の敷地に居座る事は犯罪です。
まとめ
私、自身も過剰な要求をしてくるお客さんに対しては何度か、「わかりました。では、ご納得いただくことを諦めます。」と言って対応を切ったこともあります。
飲食店はサービス業ですが奴隷ではありません。きっちりと誠意をもって対応しているのに、弱みに付け込んで過剰な要求をしてくる人に対しては、ハッキリとお断りすることが出来るのです。
ここで紹介した法律をお守りと思って、悪質なクレーマーに対して恐れることなく対応しましょう。