夏は、長いお盆休みもあるので、つい海に泳ぎに行きたくなるものですが、「お盆に海に入ると幽霊に足を引っ張られる!」と幼い頃によく聞いたことがあります。
この時期しか行けないという方も多いと思いますが、古くから、怖い言い伝えも存在しています。今回は、お盆の海の言い伝えや、お盆の海に行ってはいけない本当の理由、お盆の時期でも入れる海などをご紹介します。
お盆の海の言い伝えとは?
お盆は、亡くなった人の霊を黄泉の国から、迎え火をしてお迎えして、供養を行った後に送り火をされて、また海を渡って帰っていくと言われています。
全ての霊が供養されるわけではなく、誰からも供養されず、成仏できない霊も、誰かが迎えてくれると思って黄泉の国より帰ってきますが、誰からも供養されなかった霊は寂しさから、誰かと共に帰ろうと引きづり込んで、海を渡りかえっていく。その為に海に入ると、霊に引きづり込まれるという言い伝えがあります。
また、地域によっては「地獄の釜の蓋が開く」と言われている地域もあります。そもそもこの言葉の由来は「閻魔斎日」と言って、この日は地獄の定休日で、エンマ大王も地獄を監視している鬼たちも休みです。
閻魔斎日には地獄の釜の蓋が開いて地獄にいる亡者たちの霊が解放されて、この世にやってきます。亡者の魂はいずれ水を求めて海へたどり着くので、今まで地獄に送られた無数の魂が海に溢れかえると言われています。
もともと、地獄の釜の蓋が開くと言われている日は、1月16日と7月16日ですが、閻魔斎日である7月16日というのは太陰暦つまり旧暦です。太陽暦を使う現代では、旧暦の7月16日は多少の誤差はありますが、8月の中旬のお盆あたりになりますので、お盆に海に入ってはいけないと言われているのは、この閻魔斎日にちなんだ迷信なのです。
お盆の海に行ってはいけない本当の理由とは
お盆の時期は季節の変わり目に当たるので、海では土用波といったうねりを伴った高波が見られたり、波の向きが変わったりと普段とは異なる性質の波が発生したりします。
海水温が高い夏は日本の近くで台風が発生しやすく、この台風で生まれるうねりは衰えにくく、遠くまで伝わりやすいため、沖縄付近の遠くで発生した台風であっても、台風のうねりが東海や関東の海岸にも大波として影響するというわけです。
台風自体は遠くにあるので雨風は無く天気は良いため、一見、絶好の海水浴日和に思えます。しかし通常の2倍くらい、大きいもので通常の3倍くらいの大波が海岸に打ち寄せるので、事前に知っておかないと非常に危険で、泳ぎに自信のある人やベテランサーファーでも、この波にさらわれてしまうことがあったりと海水浴中の事故が多くなるのです。
川でも、自分のいるところは晴れていても、上流で局地的な豪雨などの急激な増水でおぼれたり、また水温が急激に下がり、心不全を起こすなどしておぼれる危険性が高くなる時期です。
その他、お盆の海は危険と言われている理由は、水草が増える時期なので足に絡まりやすくなったり、クラゲが大量発生するから刺されたら危ないというのもあります。クラゲに刺されたショックで上手く泳げなくなり、溺れてしまう事もあるのです。クラゲの種類によっては全身に激痛が走ったり、ミミズ腫れになったりするので、見つけても近寄らない方が良いでしょう。
お盆を過ぎても入れる海もある
お盆の時期の海水浴は、さまざまな危険があり行かない方が良いと言われていますが、白浜海岸は9月半ば頃まで泳ぐことができます。日本の海水浴場では、だいたいお盆を過ぎるとクラゲが出ると言われています。
早いところでは、7月の終わりから出るところもあるそうですが、白浜海岸は潮の流れの関係で、お盆を過ぎても9月に入ってもクラゲを見かけることはほとんどありません。
また伊豆の海の水温は気温の2ヶ月遅れと言われています。太平洋の南の方から流れてくる黒潮が、南の温かい海水を運んでくる時期が8月の初旬頃からとなるため、この頃から水温が高くなるので、海の水は9月でもまだ温かいのです。
その年や、日によって潮の流れが違うため、場所によって水温が違ったりしますが、下田では水温が高い時は27度ぐらいになることもあり、10月に入っても、年によっては25度前後のこともあります。1年を通して見ると、早い時は5月のGWの頃から泳いでいる方がいらっしゃるので、白浜は約5ヶ月もの間泳げる海ということになります。
例年通りの気候なら、天気が良ければ、9月でも泳ぐことができます。ただし、9月の半ばを過ぎると北東の風が吹く日が増えてきますので、そんな日は肌寒く感じる時もあります。
白浜の海水浴場は9月になると、ライフセーバーなどの安全対策はなくなり、サーフィンエリアの規制もなくなります。また、この時期は台風の発生する可能性の高い時期です。台風が発生すると、かなり距離が離れたところでも、白浜でも高い波が立ちますので、海の様子には十分注意しながら泳ぐようにしましょう。
まとめ
お盆や、お盆過ぎに海に入ってはいけないというのは、危険な海から遠ざけるための先人からの助言なのかもしれません。海に行く際は、十分注意して楽しみましょう。