熱中症は、真夏の炎天下だけでなく室内でも起こることがあります。体温調節機能が未熟な子供は、自己管理で判断ができる大人と違って外気温の影響を受けやすく、熱中症になる可能性が高いです。
また、遊びに夢中になり気づくのが遅れて熱中症になってしまうことも少なくありません。そして熱中症の症状は一つではなく、いくつかあるのはご存知でしょうか?
今回は子供の熱中症の原因と対策、かかってしまった時の初期症状と対処法を紹介します。
子供の熱中症の原因と対策
熱中症は、体温や状態によって大きく4つに分けられ、それぞれ特徴的な症状がみられます。
熱射病(日射病)
屋外、屋内問わず暑さがひどい時に日射を浴びたり、熱が体から抜けず体温以上の温度になった時に起こります。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、ショック状態になる場合もあります。顔色は悪く、唇は青黒くなります。顔などの皮膚は熱く赤みを帯びてきます。
(対処法)
体温を下げる事が大切です。氷やアイスノンなどで、脇の下や足の付け根、首を冷やし、扇風機で全身を冷やしましょう。この時に、水分補給を行い脱水症状から早く改善することが大切です。
熱失神
熱失神は体を動かしているスポーツ時などによく起こります。炎天下にいて体温が上がっていくと、体がそれを冷やそうとします。この時に冷やす動作をするのが血液で、皮膚血管の拡張によって全身にくまなく血液を送り込みますが、この作用によって脳血流が減少して起こります。
体温は平熱ですが顔色が悪くなり、脈は速くて弱くなり血圧が低下し貧血をおこします。重度の場合は、血圧低下によるショック状態をおこします。
(対処法)
涼しい所で安静にしながら水分補給をすると回復します。ショック状態であれば、病院で電解質を含んだ点滴を投与して回復を図ります。
熱痙攣(ねつけいれん)
運動時などに、汗を大量にかくことで血液中の塩分が不足してしまいます。この時に水だけを補充して塩分を補充しないと、体温は平熱ですが、塩分不足により手足がつる、筋肉が痙攣するなどといった症状が現れます。
(対処法)
涼しい所で塩分を含む飲み物を飲んで回復を待ちましょう。また、出来るだけ体を冷やすために涼しいところに移動させましょう。筋肉の痙攣がひどい時や、症状も悪化するようであれば、すぐに医療機関に行き点滴などの処置を受ける方が良いでしょう。
熱疲労
暑さによって、多くの発汗をしますが、発汗量が多いときに適切な水分補充をしないと、身体は脱水状態になってしまいます。脱水状態になりと脱力感、倦怠感(けんたいかん)、めまい、頭痛、吐き気などの症状がでます。熱疲労は、運動している場合もなりますが、気温の高い室内でも起こりますので注意が必要です。
(対処法)
涼しい所で安静にして、水分補給をして脱水症状の改善を図りましょう。塩分の入ったイオン水やスポーツドリンクなどがおすすめです。重度の場合は、病院で点滴が必要になります。
以上の4つの症状の総評が熱中症です。赤ちゃんや子供が一番なりやすいのは、熱射病と熱疲労です。炎天下で子供が車内に置いていかれ、救急車で運ばれるニュースをよく聞きますが、この症状は熱射病(日射病)によるものです。
小さいお子さんは新陳代謝が良い為、大人と比べて体温が上がりやすく、同じように生活していても、子供のほうが自然と体温が高くなってしまいます。
ただ、子供は体温を調節する機能がまだ未発達なので、うまく汗をかいて体温を下げるという事が十分に出来ませんので、熱が蓄積しやすく熱中症になりやすいのです。
さらに、子供は身長が低いので地面からの反射熱を直接受けてしまいます。強い日差しの日には、アスファルトから照り返した熱を受けることになるので、長時間遊ばせないようにしたり、日陰や芝生、プールなど涼しい所で遊ばせるようにしましょう。
子供の熱中症の初期症状
子供は、気温にそれほど関係なく、暑い炎天下でも夢中になって遊び、ちょっと気分が悪くなっても、気がつかない場合もあります。実際に熱中症は家に帰ってきてから発症するというケースもあります。
もし、熱中症にかかってしまったら、まずそれを悪化させないように対処することが重要ですが、それには普段からよく子供の症状をチェックして、すぐに気がついて正しい対処をすることが大切です。
<初期症状>
顔が赤く火照っている
目をしょぼしょぼさせている
鼻や唇が乾いている
足がしびれる
皮膚がカサカサしている
やたら、水分を飲みたがる
大量の汗をかいている
おしっこが出ていない
力が入らない
気持ち悪い、嘔吐する
めまい、立ちくらみ
これらの症状は、体温が上がっていたり脱水症状を起こしているサインです。また、見落としがちなのは寝ている時で、睡眠中は大量に寝汗をかきます。気付かない間に、脱水症状を引き起こす場合があるので注意しましょう。
子供に熱中症の初期症状が出たときの対処法
熱中症は、初期症状がみられたら、すぐに対処する事が大切です。症状が落ち着いたら病院を受診しましょう。
●体を休める
風通しの良い日陰やクーラーの効いた、涼しい場所に連れていき横になり体を休めましょう。風や汗を通しにくい素材の場合は、着替えさせてあげましょう。
●冷やす
脇の下・首のうしろ・足の付け根などの動脈を冷やします。氷や保冷剤がない場合は、冷たい缶ジュースなどで代用しましょう。10分~15分くらいは当てて下さい。霧吹きで水を全身にかけて、体を冷やすのも効果的です。その後、体温が下がってきたら安静にします。もし体温が下がらない場合は熱射病の可能性がありますので、そのまま病院に向かうようにしてください。
●水分・塩分の補給
スポーツドリンクやイオン水を飲むと塩分の補給にもなり、体内に吸収されやすく効果的です。一気に飲むと、汗や尿になって体外に出てしまい体内に吸収されませんので、こまめに飲ませるようにしましょう。
まとめ
子供は大人よりも熱中症になりやすく、遊びや運動に夢中になって、体調の変化に気づくのが遅れてしまう傾向にありますので、きちんと予防対策を行う事が大切です。また、遊んでいる時は平気でも突然夜に具合が悪くなる場合もありますので、大人がしっかりとした知識を身に付けて、熱中症の症状に合わせた対応をするようにしましょう。