広島県宮島にある厳島神社といえば、
海の中にそびえ立つ朱色の鳥居が印象的で、
その威風堂々とした佇まいは見る人を感動させるものがあります。
国の重要文化財でもあるこの大鳥居は今から850年ほど前、
平清盛によって造られたとされており、
当時の超最新型技術が採用されて造られた鳥居でした。
その構造は後で詳しく説明しますね。
厳島神社の大鳥居は木造の鳥居の中では日本最大で、
高さは約16.6m、総重量はなんと約60tあります。
大きすぎてよく分かりませんよね。
意外かもしれませんが、大体奈良の大仏と同じ高さなんです。
それほどまでに大きく重たい木材を、
重機も存在しない850年前に海の中に運ぶことができたのも驚きですが、
実はこの鳥居、自分の重さのみで自立しているのです。
しかも、これほど大きい鳥居ですから柱を地中に完全に埋めているのかと思いきや、
ただ地面の上に立っているだけなのです。
木材で作られていれば腐って倒れそうなものですが、
現在でもその美しい姿は変わることがありません。
考えれば考えるほど不思議ですよね。
宮島の大鳥居には、見た目だけでは分からない秘密が隠されていそうです。
厳島神社の鳥居はなぜ腐って倒れない?
木材で作られている鳥居ですが、なぜ腐って倒れたりしないのでしょうか。
先ほど850年前に建てられたと説明しましたが、
それは実は一代目の鳥居。
現在立っている鳥居は、
明治8年に建てられた八代目の鳥居なんです。
それでも現在までの143年間、腐ることなく美しいままで倒れずにいるのには、
使われている木材の種類に理由がありました。
厳島神社の鳥居に使われているのは、
クスノキという種類の木材です。
クスノキは、虫がつきにくく腐りにくいというのが特徴で、
現在立っている鳥居には樹齢500年のクスノキが使われています。
また、あの特徴的な朱色の塗料も、
さび止め防腐効果のある塗料なんだとか。
とはいえ、修繕を繰り返しながら140年以上経った今、
そろそろ建て替えをした方が良いと言われているようです。
しかしまだ建て替えが行われないのには、
今使われているのと同じような、
樹齢500年以上のクスノキが見つかっていないからなのです。
現在使われているクスノキも
20年以上探し続けてやっと見つかったものなので、
簡単には見つからないのも頷けますね。
そして、海の中に置いてあるだけの鳥居が倒れないのには、
まだまだ秘密がありました。
それは、柔らかい砂地に
約50cmの杭が30~100本も打ち込まれているのです。
これにより、海の波にも雨風にも揺るがない
頑丈な作りになっているんですね。
基礎が無くて大丈夫なのかと心配になりますが、
実は地震が多い日本では基礎が無いほうが衝撃を逃がして、
鳥居に与えるダメージを最小限にとどめることができるのです。
はるか昔の人がそのような免震構造を作り出していたのには驚きですよね。
また、基礎が無くても大丈夫なよう、鳥居本体の重さ60tに加えて、
鳥居の中に重しが詰め込まれているのをご存知でしょうか。
鳥居の屋根の部分は箱型になっており、
そこに約6tものこぶし大の玉石がぎっしり詰め込まれています。
地面に立っているだけの鳥居ですが、
昔の人の知恵と技で決して倒れないような構造になっているんですね。
厳島神社の鳥居はなぜ海の中に建てられたのか?
厳島神社の鳥居は、まるで海の中に浮かんでいるかのように建てられており、
他では見られない圧巻の景色です。
朱色の鳥居と青い海のコントラストも印象的で、
その神秘的な美しさは心に突き刺さるような感動を与えてくれます。
海に浮かんでいるからこそ印象深い大鳥居ですが、
そもそもなぜ海の中に建設されたのでしょうか。
当時の人も、陸地に建てた方がずっと楽だったはずです。
苦労してでも海の中に建てたのは、次のような理由がありました。
実は宮島は昔から、島全体に神様が宿るとされてきました。
そのため島の木を伐採したり、土を動かしたりすることはもとより、
神そのもののような存在である島の上に建物を建てること自体が
畏れ多いことだとされていたそうです。
海の中なら島や土地をいじらずに済みますからね。
そのため、本殿から沖合約200mの海の中に建てられたと言われています。
まとめ
厳島神社の鳥居は、その大きさもさることながら、
海の中に佇む姿は息を吞むような美しさですよね。
自立しているということを含めその構造を知れば知るほど、
神秘的なものを感じずにはいられません。
宮島を訪れた際には、
そんな神秘を感じながら大鳥居を見てみてくださいね。